ひのひなどりから

主に宝塚について。それ以外のことも書くかもしれません。

雪組公演fff 色々情報を仕入れての覚え書き<その2>

前回の記事の続きで、当時の戦闘技術についてと、カントについてもざざっと読んだ本があるので覚え書き。
図書館の返却期限が来ちゃったので完読してはいない(図書館大好きマン)

 

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戦術書って今あるのかしら?と思ったら、分厚いのがあった。

純粋に、昔の戦闘や戦術の記録がこんなに残ってるんだ!というのに驚き。

確かに日本史では織田信長の鉄砲隊が…みたいな話は聞くので、海外でも同じように記録が残されていても何ら不思議はないんですよね。
しかし国境を跨いでの戦争なので、スケールがでかい…。

 

兵の種類(歩兵、騎兵、擲弾兵etc.)や、数々の戦線の記録等々が、図解も交えて記されています。

マレンゴの戦いについても少し触れられていましたが、それはネットで見た方が詳しかったかな。ナポレオンが敵情を誤認して劣勢になったけれども、援軍が駆けつけて辛勝した、とのことで。
fffだとめっちゃカッコイイ感じになってますけど、ナポレオンも間違えることはある、人間だもの。

 

台詞で「胸甲騎兵はマレンゴに援軍に向かい…」というのがありますが、
胸甲騎兵というのはその名の通り甲冑を着て馬に跨った兵士なので、舞台上に胸甲騎兵は一人もいないんですよね。
頭の中で、向こうの方に胸甲騎兵がいるのだと想像して観ています(笑)

ちなみに、”フランス騎兵、なかでも胸甲騎兵は、ナポレオン戦争の戦場において支配的な部隊だった”とのこと。
ただしロシア戦役で騎兵部隊が崩壊して優秀な古参兵を失い、大幅に戦力を落としたのだとか。新兵は戦闘以前に落馬してしまうような者もいて、上官は頭を悩ませていたそうです。

そもそも、元々軍人として働いていた貴族がフランス革命で追い出され、軍隊が素人集団となってしまっていたのを、
ナポレオンが貴族出身の優秀な軍人を呼び戻し、貴族平民問わず優秀な人材を確保することができたんだそうで。軍人の教育にも力を注いでいたようです。

技術面ももちろん大切ですが、傭兵など士気の低い兵は敵前逃亡するだけでなく、わざと馬に怪我をさせて後方に回ったりすることもあったそうで。
宝塚の舞台を見ていても、皇室の人間や貴族が前線へ出なければ兵士の士気が保てない、みたいな台詞が時々ありますが、
士気を保つのは確かに重要なことだったんだなと改めて。

 

Twitterにも書きましたが、雪原で倒れてる兵士たちは、ナポレオン戦争の場面と同じ面子なんですよね。
パンフでの役名も、たっちーは「ナポレオンの副官」、汐聖くんは「ナポレオンの軍医」なので、確実に同一人物。
オーストリア軍との戦いから長い間共に戦ってきた、優秀で忠実な"我が兵士"たちをロシアで死なせてしまったっていうのがまた辛いんですよね。。
(ただ8人のうち、常時出演メンバー7人は確実にナポレオン戦争に出てるんですが、あと一人を誰が演っているのか確認できておらず…。不思議とあみちゃんは出てないんですよね。「彼女の名前」ではフランス兵として出てくるのに。)

 

本の話に戻ると、隊列についても各役職の配置など含めて図解してあって面白い。
それまで三列横隊が主だったのを、ナポレオンは横隊と縦隊を組み合わせた混合隊形を好んで用いて、諸外国はこの戦術になかなか対応出来なかったのだとか。

 

半分くらいをざっと流し読みした程度ですが、面白かったのでまた読みたいです。
最後の章は海戦で、ネルソンやトラファルガーの戦いについても書かれていました。ゆうひさん・・・

 

 

 

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ドイツ出身ユダヤ人のフリートレンダーという方が1924年に書かれた本を、長倉さんという方が2004年に邦訳されたもの。

道徳教育のために書かれたそうで、序文以外は「道徳の授業のための問題集」という位置づけのようです。
一問一答のような形式で書かれ、一気に読む本というよりは「授業」として時間をかけて、時には同じような事柄を違った視点から確認し直しながら、徐々に理解を深めていくためのテキスト、という感じがします。

いかにも子供向けというやさしい内容ではなく、訳者あとがきでも

わが国でドイツと同じ年代層の生徒[子ども]に理解できるのかといえば頸を傾げざるをえない。ちょっと難解な第三章の一部を除くとしても、残念がら無理かもしれないと思ってしまう。大学生ですら、難しいという声が出そうである

と書かれています。
日本では、一段一段論理を積み上げていく思考の訓練が大学生でも欠けている、といったご意見。
そもそもドイツにおいても、実際どのくらい道徳教育として使われていたのか分かりませんが。。


私も読みつつ、これ図解した方が分かりやすいのでは?とか、結論をわかりやすく書いてくれ…とか思ってしまったのですが、まさにそれがダメなんだよと言われたようでぐぬぬ…となりましたw

 

序文、1章「何を行うべきなのか」、2章「何を希望することが許されるのか」、3章「何を知ることができるのか」で構成されています。

2章までは、独特と感じる部分はありながらも確かに道徳教育らしく、理解できる部分が多かったです。
ちょっとひかりふる路のマクシムを思い出したりしました。

3章に入ってくるといよいよ哲学的になってきて、こりゃ~時間をかけないと読めないぞ…という印象。
独特な言葉の使い方があるので、私は途中で「自然」が一般的な意味で使っているのか、カント用語的な意味で使っているのかよく分からなくなってきましたw

 

それでも、カント特有の専門用語はほとんど使っていないとのことで、私のような初心者にはとっつきやすい部類なのだと思います。
確かに図書館で「カント入門」という本を開いた時は、専門用語だらけでOh…となったので。(笑)
最初からじっくり読めばいけるのかもしれませんが…まさに学問という感じ。

カントを読んだというルイに、ナポレオンがかける台詞が「本当に読んだのか?」なのも、それだけ難解なんだな…ということを、ほんの一端ではありますが身を持って感じました(笑)

 

あと、読んでいて最初にあぁ~と思ったのは、読者は何かの宗教を信仰しているという前提で書かれているということ。

信仰や祖国愛よりも、理性がまず先にくる。
理性を持つ人間にはじめて、信仰する自由が得られる。
外から信仰を植え付けられて育てられるのではなく、道徳的に行為することで、自ずから敬虔に信じるようにもなるのだ。

・・・というようなことが書かれていました。
序文で、この本は宗教教育とは別の授業として取り扱ってもらいたい、みたいなことも書かれていて、
当時は道徳教育と宗教教育はほとんどイコールだったんだなと伺えました。

私は無宗教者で、人はそれぞれに自分の哲学を持って(=自分の頭で考えて納得して)行動すべきと思っている派なので、
まさしく「信仰や祖国愛よりも、理性がまず先にくる」というのは当たり前だと感じていて、
逆に産まれた時から宗教教育されて育った場合はどういう思考回路になるのかが感覚として分からないんですよね。

厳格な宗教観念を持っている人々にとっては、フリートレンダーさんは主張はとても斬新な考えだったのかもしれません。
今、他の国での道徳教育ってどうなってるんだろうなぁ。

 

 

 

という感じで、やっぱり情報を仕入れると想像が広がりますね~~楽しい。。

だいきほをはじめとする雪組生の退団が寂しいのはもちろん、この公演が終わってしまうのも本当に寂しいです。
しかしBD発売が延期されたので、逆に4/20までは堂々と(?)この世界に浸ってられるな!!と思ったりしています。

何よりも、無事に千秋楽を迎えられることを祈るばかりです。
あ~~~雪組さん、スタッフのみなさん、素敵な作品をありがとう。大好きだ~~~!!!