ひのひなどりから

主に宝塚について。それ以外のことも書くかもしれません。

「蒼穹の昴」譚嗣同の決断はこういうことかなって大千秋楽に感じたこと

蒼穹の昴、公演の完走本当におめでとうございました。
誰ひとり欠けることなく完走する、その努力を重ねてくださった出演者や関係者の皆様、
そして彼女たちを守ってくれた舞台の神様にただただ感謝です。

 

さて、大千秋楽にして日本公使館のシーンで思ったことなのですが。

春児が「粥や豆よりうんと大事な夢を恵んでくれた」と語るとき、
後ろで譚嗣同がにっこり笑うじゃないですか。

あの時、譚嗣同は春児のことを好きになって、信頼したんだろうなと気付いて。

だから彼の願いを叶えるためにも"文秀を生かす"決意を固くしたんだろうなと。

 

今までは春児への祝福とか、彼の言葉への共感とか、そういう気持ちから来る笑顔だと感じていて。

多分それはそうだとは思うんですが、もっと根底のシンプルなところで
譚嗣同自身が春児という人間を好きになったんだ、と思ったら
個人的に色んなパーツがパチンパチンとハマっていったような感覚があって。

 

譚嗣同が、春児や白太太のお告げのことを元々どれだけ知っていたかは分かりません。

でもたぶん、文秀と春児の大体の関係や、玲玲と兄妹であることは知ってたんじゃないかな。原作で順桂は知っていたので。


とはいえ譚嗣同が実際に知っている春児は「西太后の側近で誰からも一目置かれている高級太監」でしかなかったはずで、
あの場で初めて「文秀が弟分として可愛がっていた男の子」としての彼を知って、
彼の純粋さ、真心、強さ、愛らしさ、好ましいところを沢山知って、
既に死を選んでいたあの場で、譚嗣同はまた愛する人を増やした。

 

だって大好きな玲玲の兄だもんね。
尊敬して信頼する文秀の弟分だもんね。

元々「大切な人たちの大切な人」とは認識していたかもしれないけど、
その事実に納得する春児の人柄に触れて、
人間として好きになると同時に、自分にとっても大切な人になったはず。

 

そして、春児がどれだけ文秀を必要としているか、
文秀がどれだけ春児を大切に思っているかも感じたはず。

春児が離れ離れになってもずっと玲玲を想っていると知って、
この素晴らしい兄と玲玲を再会させてあげたいと思ったかもしれない。

 

だから春児のために、玲玲のために、そして文秀自身のために、
文秀をここに残していこうと決めたんじゃないかな。

どれだけ難き道でも文秀さんなら大丈夫だと信じて。

 

 

 

ちょっと時系列が戻りますが、
譚嗣同が文秀の身代わりになったようにも見える決断を改めて考えると、
そもそも最初は2人とも亡命しないつもりだった。
つまり2人とも死という選択肢しか残されていなかった。

でも譚嗣同は伊藤公の話を聞いて、「自らの血で将来の革命家たちの勇気の源になる」ことを自分から選ぶ。

志を信じて尽くす、その行動として自分が考える最良はこれなのだと。

 

この時点では、文秀は伊藤公の言葉に迷いは生じつつも、やはり亡命は選べないと思います。
(GRAPHのトークDXでも、最終的に生きる決意をするのは譚嗣同の処刑の後だと彩風さんが語っていた)

そして譚嗣同も、文秀がどう決断しようと口を挟みはしなかったんじゃないかな。
伊藤公の言うように文秀は生きるべき人だと思っていたかもしれないけど、
同志として彼の意思を尊重したんじゃないかな。

原作でも、伊藤公の話を聞いても文秀の決意は変わらず、2人で衛門に向かう(捕まりに行く)んですよね。

 

そこに春児が現れて、文秀に生きてくれ、運命なんて変えられると泣き喚いて頼む。

文秀は更に迷う。一方で譚嗣同は文秀を残そうと思う。

 

そう、だから譚嗣同は文秀の身代わりになることを選んだんじゃなくて、
自分が愛する3人のためにそうしたいと思ったから文秀に生きるように頼んだ。

そして四億の民のためにも文秀には生きて、未来をつくって欲しかった。

「ここに残ってください」「難しい方を選んでください」
ただ台詞そのままの意味だったんだなぁ。

 

だって見知らぬ物乞いに迷わず手持ちの全財産あげちゃう(原作)ような、
人のものなのに反射であげちゃう(宝塚版)ような人だもんな。

自分の血を未来のために使うのは志のためだけど、
文秀を生かしたのは、彼が常に持っている優しさや愛がそうさせたんだろうな。

この公演に懸ける想いとして諏訪さんがパンフレットに「愛」と書いていましたが、
本当に愛の人なんだなぁ。

 

 

 

譚嗣同は「将来の革命家たちの勇気の源になる」ために死を選びますが、

彩風さんがトークDXで
「処刑の時に譚嗣同の血を全部浴びるような感覚になり、それを一滴も無駄にしちゃいけないと思う。
自分は生きなければならない、のか?と。」
というようなことを仰っていて、
譚嗣同が最初に勇気を与えた相手は文秀だったんだな、と。

もう勇気とかそういうレベルじゃない、宿命を与える重さですけど、
確かに譚嗣同のこの行動によって文秀は生きる道を歩み始めた。

 

 

 

そうそう、原作でも譚嗣同が春児に格別の好感を持ったことは
「君とは兄弟になりそこねた。心残りといえば、それだけだな」
という台詞で十二分に示されているんですが、

宝塚版での諏訪さき譚嗣同のあの笑顔は、そこにある愛をリアルに感じさせてくれたというか。

リアルというか、言葉では表現しきれない感情そのものというか・・・
まさに舞台ならではだったと思います。

 

 

 

最後に、文秀も譚嗣同も2人とも死ぬつもりだったとき
玲玲のことどうするつもりだったんだよ!ばか!と思わずにはいられない件について

そこは文秀の自宅で変法派の集会を開いてたくらいなので、玲玲も覚悟はしていただろうし、
変法派の人たちの覚悟は言わずもがな…というところでしょうか。。

(順桂なんて妻子どころか大勢いる一族も皆殺しになると分かってあの行動してますからね。。)

 

そもそも玲玲のような人たちを救うための変法維新で、
玲玲自身も青海にいた頃から「文秀が進士様になって百姓を救ってくれる」ことを願っていて。

だから譚嗣同は、玲玲が目を逸らさずに最期の仕事を見ていてくれて本当に幸せだっただろうな。

 

こと譚嗣同に関して言うと、
彼が玲玲にプロポーズしたのはもちろん自分が玲玲と一緒になりたいからだけど、
お嫁に行けるなんて思ってもみなかった、と戸惑う彼女にかける言葉を聞いていると、
「彼女に幸せを手にして欲しい」という願いも感じます。

 

カフェブレできわちゃんもお話されていましたが、
玲玲には「自分が幸せになっていいんだろうか」という思いがあって、
それが譚嗣同には分かるんだろうなと。
人の情けなしでは生きてこれなかった者同士だからこそ。

 

今までずっと人の情けで生かされてきて、その恩を返すために生きていたところに、
そうではない自分だけの人生を突然差し出されたのがあの時の玲玲なんだと思います。

 

その「自分が玲玲を好きで一緒になりたい」という願いと、
「玲玲に幸せになって欲しい」という願いは別物なんですよね。

僕のこと嫌いですか?と聞いてしまうくらいには
自分が彼女を幸せにできる自信なんて持っていないわけなので。

 

宝塚版ではかなり割愛されていますが、原作の譚嗣同の
「いいことなんてひとつもなかったけど、だからひとつくらいわがままを言ってもいいかと思って。
だめですか、あなたにとっては、やっぱりいいことじゃないですか」

って台詞が大好きで、ここに彼の正直な気持ちが全部詰まっていると感じます。

 

で、だいぶ脱線しましたが、
「自分だけの幸せを手にしていいんだよ」と伝えて、玲玲がそれを受け入れてくれた。

それだけで譚嗣同の願いは達成されたんじゃないかな。
それが彼から玲玲にあげたかった、一番の贈り物だったんじゃないかな。

だから日本公使館ではもう迷いなく、
自分の志のために決断が出来たのだと思っています。

 

 

・・・でも、受け入れてくれたってことは彼女にとっても「いいこと」だったわけで、
だからやっぱり玲玲だって譚嗣同に一緒にいて欲しかったはずで、
譚嗣同だってそれを分かってないわけないと思うんですよ。

 

ねぇ、だからやっぱり最期の選択は譚嗣同のわがままなんですよ。

 

原作では譚嗣同が袁世凱の説得に赴きます。
宝塚版での文秀と同じように、その場で殺される覚悟も持った上で。

自分が説得にあたると名乗りを上げ、袁世凱の元へ向かうその前日、玲玲に
「死ぬまで、あなたのことを、今と同じように愛し続けていいですか」
と許しを請うんです。

ものすごくわがままじゃないですか・・・。
きっと譚嗣同の一世一代のわがままなんだろうなって何度か読み返しながら思ったんですけど。

 

宝塚版でも色々考えてたら、その原作を読んだときの感覚が蘇りました。

 

だから玲玲さんがそんなわがままも受け入れて、自分の志を信じてくれて、
最期まで目を逸らさずに一緒にいてくれて、本当に幸せだったね、復生・・・。

 

 

宝塚歌劇の生徒さんの好きなところを本能のままに書く(雪組編Part2)

だいきほトップコンビだけでPart1が終わってしまったので続きを…と思っていたんですが中々書く時間がなく、ついに明日は雪組大千秋楽。
今の雪組について書きたい!!という思いだけで一気に書きました。

 

奏乃はると

何せあの安心できる声ですよね~。
芝居して良し、歌って良しのまろやかで包み込むような男役声。

ひかりふる路のルノーさん、ファントムのジャン・クロード、PR×PRINCEのパパ等々、優しげな役とあの声の相乗効果で包容力が素晴らしくて、大好きでした。

でも凱旋門のシュナイダーや、今回のfffのように荒んだ役もぴったりだと感じるので、毎回さすがだなぁ…と思わされます。

あと、さすが雪組育ちなだけあって和物を演じてる時の安定感がすごい。
特に銀二貫や幕末太陽傳など、町人モノでのお芝居が大好きです。

今後、下級生バウの日本物とかにじゃんじゃん出て欲しい。


組長になってまだそこまで経っていませんが、もう雪組のパパ感が出てきているのも頼もしい。
出来るならば、末永く組長さんを務めていただきたい…。

 

沙月愛奈

お姉様~~~!!!
動きのひとつひとつ、衣装の捌き方ひとつひとつ、全てにこだわりの詰まったダンスが本当に美しい。

どんなダンスも素敵ですが、美しいデコルテラインと娘役ならではのスカート捌きが堪能できる、シンプルなロングスカートのお衣装でのダンスは特に惚れ惚れします。

シルクロード砂の女では、肩に付いてる布の扱いがまぁ~また美しくて!!
砂の女たち、皆さん美しくて大好きで、それぞれにこだわりを持って踊ってらっしゃると思うんですが、
あゆみさんを見てたらどの瞬間も美しすぎて涙目になりました。。

 

全身隙がないスタイルで、シンプルな衣装であればあるほど美しさが際立つ。
洗練された美しくカッコイイ娘役という感じ。

NOW ZOOM MEのショッカー的なふざけた衣装でも美しかったのはもはや笑いましたw宝塚の娘役ってすごい…

ファントムの従者での、男役のようなパンツスタイルも格好良かったですね!!

役としては、星影の人の早苗さんが素敵だったなぁ…という印象と、
20世紀号のイメルダが面白かった印象があります(笑)

 

あんなスーパーダンサーで、性格もしっかり者で面倒見が良くて…と同期からも評されていますが、同時に結構天然ボケな一面もあるようで。罪だぞあゆみ姉さん。。

 

千風カレン

シルクロード砂の女、皆さん髪型がそれぞれに素敵なんですが、個人的に一番好きなのがカレンさんなんですよ。。
どうなってるのか全然分からないんですけど、片側でざっくり纏めたダウンスタイルみたいな…。
そしてダウンスタイルで踊っていても常に美しいというのが娘役上級者ならではだなと。

余談ですが、男役が女装する時、髪型バリエーションが無いからなのかダウンスタイル率が高い気がしていて。でも大概ダンスで髪型乱れたり、ロングヘアの扱いに慣れてない感を受けるので、ダウンスタイルは上級者向けだから男役はやめとけ…と思うことが多い(笑)

緩く巻いた髪を下ろしている美女…ってもう完璧じゃないですか。。
これからはもう私の中では美女担当だなと思ってます。

歌声も美しくて、オフでの優しげでお姉さん感溢れる雰囲気にも癒やされます。

 

透真かずき

みんな大好きりーしゃさん。

壬生義士伝での佐助さん、幕末太陽傳での番頭さんの印象が強くて、
にわさんに続き、特に日本物の人情を現せる人だなぁと感じます。

今回のfffでは皇帝らしくとても鷹揚に構えて、キラッキラの衣装を着ていて、りーしゃさん出世したな…!!という第一印象でした(笑)
よく考えると前回のワンスも社長でしたけど、まぁ大変な状況の場面だったし。

 

クールで凛々しいビジュアル。逞しい筋肉。落ち着きのある雰囲気。
宝塚で男役をしてくれていてありがとう…と思います。

殺陣がお好きなようなので、日本刀でめちゃくちゃ戦ってるところを見たい。。

 

彩凪翔

何をしていてもカッコイイな…と先日の1dayスペシャルライブで改めて感じました。
個人的に、Blue Moon Blueのシーンがドツボすぎました。
好きな展開の連続なんですが、特に音彩ちゃんを抱きしめて不敵に笑うあの表情なんなんですかね…凪様ファンの皆様はあれを見て生きて帰れるんですか…???
もしリアル会場でライブしてたら腰抜けて帰れない人とか出たんじゃないでしょうか。。

パフォーマンス中は男役としての色濃いカッコ良さがあるんですが、MCでワイワイやってても素敵だし、去っていく時には何故か格好いい余韻を残して行くんですよね…。

 

華やかで美しく、アイドル系と正統派男役系のどちらの雰囲気も兼ね備えたビジュアル。
ジゴロが本当に似合いますよね・・・琥珀のルイとか、SUPER VOYAGERの例のアレとか。もうジゴロ専科ですよ・・・。

 

ビジュアルの美しさとショースター性に目が行ってしまいますが、芝居人としても本当に頼りになる人で。
ワンスのジミー、ハリウッドゴシップのジェリーは、それぞれの公演での個人的MVPでした。
彼女の、内に抱えているものを他人には絶対に見せない人間の演技がすごく刺さるんだと思います。他人には揺るがせない、その人の精神を感じるというか。

ご本人も、内で思っていることと実際の行動が違う人を演じるのが好き、というようなことを仰っていたので、まさにそこが魅力なのかなと。

でも観柳やアヤナギ先生の時は思いっきり違う方向に突っ走ってくれたのがまた頼もしくて(笑)

fffのゲーテは、まさしく内側の「精神」から滲み出る格好良さを纏っていて。
運良く上手花道に近い席で観劇したんですが、ウェルテル劇中劇が始まる時、暗い花道から歩いてくるゲーテの足音が聞こえたんです。
その足音だけで、聡明で落ち着きある男性の気配が感じられて、暗くてほぼ何も見えないのに感動したというか…作品世界に没入しつつも、彩凪翔、すごい…!!!となりました。。

 

大阪人らしくお話上手だけど、ベースにすごく穏やかな雰囲気が流れていて、人を包み込むような優しさを感じるオフの姿も憧れます。
実は一人行動が苦手だったり、自粛期間中にクッキー焼いちゃったり、サインに♡入ってたり…というギャップをさらっと見せてくるのも罪。。

 

真那春人

どんな時も期待を裏切らないオールラウンダー。
”まなはる色”がめちゃくちゃあるのに、どんな役、どんなポジションでもばっちりハマってくれる頼もしさ。
そしてよく通る声が好き。 

認識し始めたのがアルカポネのマクガーン、星逢の雨吉あたりで少年っぽいイメージがあったので、ケイレブや星逢再演を見てアレ??時の流れが早い??みたいな感覚になってました(笑)

演じてらっしゃった役ほとんどに好感があるんですが、最近だとワンスのコックアイがツボ。まずスチールからしてやられました。
あのビジュアルは小池先生指定らしいので、ありがとう小池先生…たまらんです。

義経妖狐のベンケイも好き。弁慶といえば大柄なイメージなので意外な配役でしたが、まなはるの発する豪快なパワーが弁慶に通ずるものがあって。
更にとても愛されキャラで、時々無性に映像を見返したくなります。

 

スカステでの安定の司会業もありがたい。舞台もスカステもあなたがいれば安心です。

 

笙乃茅桜

言わずもがなですがダンスが素敵。
ワンスでのエンジェルにはたまげました。あの学年にしてトウシューズのエンジェル、そして可愛い。。
実際身長も低めなので身軽なのかなとは思うんですが、そういうレベルじゃないだろというくらい軽やかで、本当に天使のような踊りで。

そしてfffでの小さな炎ちゃん、大好きです。
特に「革命の記憶」では優しく美しく、「ハイリゲンシュタットの遺書」では力強く格好良く、何度見てもテンションが上がります。

野外コンサートでルドルフ大公と一緒にいる時もすっごく可愛くて好き。

 

お芝居での落ち着いたお声も好き。
誠の群像での母親役は、きぃちゃんと一緒にこちらも胸がギュッとなるというか…短い場面ですがとても印象に残っています。

 

彩風咲奈

ここ最近で顔つきが凄く凛々しくなって、fffのナポレオンが花道でライトを浴びた時は、浅黒い肌、少しこけた頬に落ちる影、そして鋭い三白眼にやられました。。

スタイルの良さは言わずもがなで、前列から間近で見ると改めてそのスーパースタイルに圧倒されました。
どの衣装も彼女が着ることでより素敵に見える。

 

そしてその身体をフルに使ったダンス、特に伸び伸びとした踊りが好きなので、シルクロード幻視や白い鳩さんは見ていて幸せになります。
クラシカルな男役ダンスもですが、現代的なダンスも美しく踊ってくれるので、とても宝塚らしい空気が漂う。

 

決してやりすぎではないんだけど、どこか人と違う個性が奥底に見え隠れする演技も惹き付けられます。 
抽象的なんですが、人並み外れて広くて深い感じがする…。
元々の個性もあると思うんですが、望海さんのエネルギーを受け止めようと成長した結果、よりスケールが大きくなったのかなぁと感じます。

その深さを生かした陰のある役が素敵なので、今後大劇場で主演として役を演じる姿が楽しみです。
それとは別に、20世紀号のブルースくんみたいな底抜けに明るい役もまた見たいなぁ~。

 

久城あす

義経妖狐、はばたけ黄金の翼よ、炎のボレロと、どれも悪役ができそうな上級生が揃っているにも関わらず、彼女にラスボスが振られるという(笑)
小劇場悪役専科になりつつある、頼もしい芝居人。

義経妖狐のエイサイはビジュアルからしてびっくりしましたね~、しかもちゃんと似合ってるのが凄い。
あれって特殊メイクのスタッフさんとか付いてたんでしょうか…?全部自分でやったんだとしたら相当なセンスですよね。。

タダでは済まない雰囲気を現すのが見事な一方で、ごくごく普通の良い人も、ご本人の明るさが出ているのかとても自然で。

銀二貫の梅吉が大好きなんですよね~~~。
お話そのものも素敵ですが、梅吉から滲み出る温かさに心がほっこりして、何度も見たくなります。

 

色白で綺麗なお顔立ちなのでスッとした人なのかと思いきやめちゃくちゃよく喋るので(笑)、第一印象とのギャップがありましたw
そして普段の肌色と差が大きいからなのか、ガトボニでの黒塗り姿を見た時にめっちゃときめきました。また黒塗り姿見たいなぁ…。

 

煌羽レオ

こんな漫画みたいに綺麗な吊り目の人っているんだ…という第一印象。

今思い返すと、始めて認識したのはドンジュアンでしたね。
青年として出てきてカッコイイな~と思ってたら、美女としてヘソ出し衣装で出てきておぉぉ…となった記憶があります。
先日サヨナラショーで再び美女姿を見ることが出来て嬉しかったです、びっくりしたけど!(笑)

 

ビジュアルと性格のギャップが激しい人代表といった感じですが(笑)、
舞台上ではそのビジュアルに劣らぬ含蓄ある芝居、キレのあるダンス、男役らしい歌と、いつ出てきても頼りになる。

やはりビジュアルも相まってか、切れ者感のある人物を演じている印象が強くて、
凱旋門マルクス、ハリウッドゴシップのマリオ、ワンスのサム、そしてfffのメッテルニヒと、どの役も素敵で…男役してくれてありがとう!!と思います。

変化球ですが、PR×Princeのギャレットも好きでした。
あの世界観の中で、喋りもせずに、一人だけ男役として特濃のカッコ良さを放っているのが何とも面白く、見れば見るほど癖になるというか(笑)
演出の町田先生も、台詞なしでこれだけ男役として成立できるということを下級生に見せて欲しかった、というような意図で配役されたようで。ありがとうございます。。

あと、幕末太陽傳の聞多の、息巻いてるけど何とも抜けてる感じもすごく好きでした。

 

ダンスでは、力強い振りや、スーツでの男くさい踊りが特に好き。
シルクロードの紅幇はもうね、、足の捌き方、ハットの使い方などなど、隅から隅まで格好いい。

一方で、NOW ZOOM MEでのライブTシャツでのライブシーンもすっごく楽しそうで活き活きしていて、見ていてこちらも更にハッピーになりました。

 

杏野このみ

先日シルクロードを運良くかなりの前列で観劇した時、中詰であんこさんが8小節間くらい目線と笑顔くれてたんですよ…いいでしょ~~~へへへへへ。

お目々ぱっちりで、スタイルもお綺麗で…美人に見つめられると嬉し恥ずかしですね……。

 

役としては、ワンスのジュリーがインパクトがあって印象に残ってます。ビジュアルも演技もキャラ立ちがすごかったw

 

朝美絢

月組時代からコツコツ着実に実力を積み上げている印象で、あと少しで頭上の蓋を開けられそうなのに…という所で雪組に組み替えとなり、見事に蓋を開け放って躍進を続けているなぁと。

特にショーでの歌の魅せ方には、こんなことも出来たのね!?と毎度びっくりさせられます。

 

甘いマスクとはこういうことかと感じる、あのまろやかな声が好き。多分α波的なものが出てる。
ここ最近で歌の表現力がぐんと広がった印象なので、良い声を遺憾なく発揮してくれて、私はとても耳が幸せです。

 

アーサー王ランスロットでは客席からの登場で、ナウオンか何かで爽やかすぎて面白いみたいなことを言われたんですが、実際観に行ったら本当に爽やかすぎて面白かったですw
明るい金髪と大きなお目々に照明が当たってキラキラ輝いていた光景をすごく覚えています。

あの時は騎士役だったので意識していませんでしたが、先日ブリネクで妃華ゆきのちゃんがあーさを「初めて王子様に会ったときの気持ちにさせてくれる」と表現していて、
ランスロットのあの姿はまさにそうだったかも、と後から思いました。

あーさの正統派王子様役、見てみたいですねぇ。。

 

役としてはグランドホテルのエリック、ひかりふる路のサン=ジュスト、ワンスのキャロルが特に好き。
役柄ゆえだと思うんですが、キャロルは以前に女役を演じた時とは全然違う声で演じていて、初日映像を見てこんな声も出るんだ!?と驚きでした。
お芝居も良くて…可愛かったですねキャロルちゃん…。

炎のボレロのクレマンは、初演の紫苑ゆうさんとは全く違った役作りと感じたんですが、
それが個としてだけでなく、相手役との関係も含めて一貫した「朝美絢のクレマン」を創り上げている感じがして、凄いなぁ~再演っていいなぁ~と思いました。

新人公演のパックはとにかくビジュアルがぴったりで、お芝居も好みでした。

 

凱旋門のハイメが「巴里の屋根の下」を歌うシーンや、Music Revolution全ツのLove Revolutionは、あの歌声に溶けそうになりましたね…。

 

ご本人から、良い意味で貪欲で、もっとやりたい!みたいな精神が感じられるのも頼もしい。

 

愛すみれ

最初はパンチのある歌声のイメージがあったのですが、影ソロなんかでは優しく包み込むような歌声だったり、NOW ZOOM MEでのポップス歌唱でも曲によって色々な表情を見せてくれたりと、まさにミラクルボイスだなぁと!

もうそこそこ上級生枠に入ってきてるとは思いますが、下級生時代から安心感がすごかったですよね…。
安心感があるゆえに、銀二貫のお里やワンスのペギーのような、人の世話焼きをしているような役の似合いっぷりがすごい。

PR×PRinceのリリーは、珍しい娘役の敵役ボスでしたが十分すぎる存在感で、あの作品ならではの愛嬌もあり、独特な間が見れば見るほど癖になりました(笑)。
ああいう悪女もまた演って欲しいです。

 

ニコニコの笑顔も素敵で、レギュラー出演している朝美絢氏のブリネクでも皆から慕われるお姉さんっぷりがひしひしと感じられ、もうほんとに安心します(笑)

 

桜路薫

ワンスのフランキーのマフィアのボス感が半端なくて、望海さん以上にギャング先輩なのでは…?と思っている。
本物のマフィアに会ったことはないですが、スチール見た時に「ガチじゃん…こういうマフィアのボスいるじゃん…」と笑ってしまいました。

舞台上で演じていても、一分の隙もなくマフィアのボスで。
あの頃はまだ年次を把握していなかったので、95期生と知ってびっくりしました(笑)

 

パルムの僧院のグリロも印象的でした。こちらは対象的に可哀想というかなんというか…つい同情してしまいたくなるお芝居でした。

 

男役の声というか、もう男の声に達しつつあるのでは?というような声で、台詞にしろ芝居にしろ、あの声を聞くとくぅ~!!男役~!!とテンションが上がります。

わりと丸顔だし目も大きいのに、めちゃくちゃ男くさいのは彼女の研鑽あってこそなんだろうなぁと。宝塚の男役って素晴らしい…。

 

天月翼

カメレオン役者すぎて、割と最近まで顔判別できてなかった。。

確か最初はファントムのジョセフ・ブケーで認識したんですが、その後にちゃんと配役分かって見てても、ビジュアルも声も本当にまるっと違うので、いつも新しい人を見てるような気分になってました。
ワンスのアシモフ警官とチャン・ラオをどっちも彼女が演じてたのも最近まで気付いてなかったです。なんかこう…良い意味でその役にしか見えないんですよね。

 

ご本人にスレンダーな印象はありましたが、お芝居では割と腰が曲がってるような役の印象が強かったので(笑)、
fffのロッシーニでは全身に対してスラックスが占める範囲が長すぎて、こんなにスタイル良かったのかとプチびっくりでした。組んだ脚が長い。。

このスタイルを隠して今まで鈴虫とか梵全様とかブケーとかチャン・ラオとか演ってたと思うと、宝塚って罪深い所だなと…(笑)

 

橘幸

スカステの音楽の宝箱(だったと思う)で、伸び伸びした良い声だなぁ~と思ったのが第一印象。
NOW ZOOM MEでもその声を発揮してくれて。公式身長は割と低めですが、全然そんな印象がないのは声の影響もあるのかもしれない。

ワンスのファット・モーも可愛かったですねぇ。

 

朝月希和

イムリーですが、シルクロード幻視の場面のきわちゃんが本当に素敵で。
ビジュアルも素敵だし、踊りの中でジャンプした時にそのまま飛んで行っちゃいそうな夢々しさでした。

あーさの方にも書きましたが、Music Revolution全ツのLove Revolutionの場面も大好きでした。
たおやかな歌声で、本当に愛に満ちた空気感があーさとの間に感じられて、見ていて幸せになりました。

 

風の次郎吉のきわちゃんの第一印象が強かったのですが(笑)、
気付けばどんどん大人の階段を登っていて、ひかりふる路のガブリエルや、マスカレードホテルの山岸など、大人の女性がとても魅力的。
落ち着いた声が良いんですよねぇ。

どこを取っても安定感のあるパフォーマンスを見せてくれるので、これから色んなヒロインを演じてくれるのが楽しみです!

 

妃華ゆきの

綺麗な子、という印象は何となくあったんですが、
NOW ZOOM MEでキューティーハニーを歌う姿が綺麗で可愛くて、配信の時に初めて認識した気がします。周りの男役たちがぞっこんになる説得力。
確か観劇に行った日に歌いながらコケちゃったんですが、速攻で立ち直って歌い続けてておぉ~!と思った記憶があります。

あーさのブリネクでの名演技が素晴らしく(笑)、素化粧もまたお綺麗で。

fffでは宝塚ならではという感じのクラシカルなマリー・アントワネットで、声も今までの印象と全然違っていて、こんなことも出来るんだなぁと!
これからも注目したい娘役さんです。

 

真地佑果

スタイルが良くダンスもダイナミックで、激しめのダンスナンバーではよくよく目に入る男役さん。

よく通る声、ハキハキした発声も好き。外見よりも声から先に認識したような気がします。

なんかこう…ナチュラルに男役っぽいんですよね。
説明し難いんですが私が好きなタイプの男役芝居をしてくれるので、芝居で出てきてくれると大概嬉しい(笑)
特にるろ剣新公の左之助がすごく似合ってて好きでした。
あとワンスでヌードルスから密告を受ける警部を演じてましたが、あれも地味に好きで、NOW ZOOM MEで「ここからそこに密告受けてたじゃないですか~」みたいな話を出してくれててフフッてなりましたw

NOW ZOOM MEではあのハキハキした声がポップス歌唱にぴったりでしたし、パロディやMCでも大活躍でしたね!w

 

沙羅アンナ

SUPER VOYAGERの海の見える街で、黄緑ペアでジジくんと踊ってたんですよね。
キレのあるダンスとショートのヘアスタイルが、あの現代的な場面に合っていて素敵でした。

オフでも面白い子らしいですが、舞台でも新公などでは面白い役を振られていて、確かにどこか貫禄があるというか(笑)
これからますます色濃い役をやってほしいです。

 

叶ゆうり

ネタになるくらいの良い歌声で(笑)、芝居も面白く、選抜のダンスナンバーにも入っていたりと実力者のイメージだったのですが、音楽学校時代は本当に何もかも周りに助けてもらっていたというエピソードを聞いてびっくりしました。
努力の人なんて言ったら軽い言葉ですが、こうしてきちんと実力を持って舞台に立てているお姿を見ると良かったなぁ…という気持ちになります。

 

幕末太陽傳新公の金造、PR×PRinceのカスパルさんなどは、彼女ならではのコメディタッチなお芝居が何とも愛らしくて、好きにならざるを得ない。

その一方でシリアスに色濃い役も似合いますし、ひかりふる路新公のダントンはすごく良かった!
大胆さが自然でしたし、最後もマクシムさえ向かってきてくれたら懐に受け止められる大きさみたいなものが感じられました。

 

綾凰華

ビジュアルの印象もありますが、お芝居もとにかく繊細。
そして、他の男役とは違う、独自の理想像に向かっている印象があります。
ご自身の個性と感性を貫いて、唯一無二の男役さんになってくれるのではないかと密かに期待しています。

 

新公主演の2作はどちらも素晴らしかったです。
本公演とは違った人物像、違った良さが確実にあり、ああいった繊細な感情の機微を現せる役が彼女の真骨頂なのだと思います。
歌も、だいもんのために書かれた曲や、ファントムの大曲たちをよくぞあそこまで。

 

美しさと軽やかさが際立つダンスも好き。
一方で星組出身ならではのギラついたアピール力もあり、青いアイシャドウが似合うビジュアルも良い。

SUPER VOYAGERの中詰での、腕に白いフリフリが付いたラテン衣装が個人的にドツボだったんですよね。ラテン衣装こんなに似合う人いる…!?という感じで。。

シルクロードのプロローグの盗賊衣装も、ターバン、ピアス、青いアイシャドウ、浅黒い肌…という取り合わせがめちゃくちゃ似合っていて、つい視線が吸い寄せられてしまう。

あと、凪様1dayスペシャルライブのBlue Moon Blueでの、ゴールドの宮廷衣装?もめっちゃ似合ってて、役どころもぴったりで…あの格好で床に崩れ落ちる姿とか最高でしたね。。

 

星南のぞみ

とにかく美人かつ可愛い。そしてダンスがカッコイイ。

fffで初めてルイに出会った時のロールヘンは、服装やら喋り方やら全てが可愛すぎて、ゲルハルトが付いてなかったら誘拐されちゃいそう。

ひかりふる路新公のロラン夫人では、派手めなお化粧がすごく似合っていて素敵でした。
ワンスのベティもそういう系統だったかもですが、今後だんだんと上級生枠に入っていくと思うので、ぜひ迫力美人を演じて欲しいです。

琥珀のフランソワーズの素朴で清楚な雰囲気も好き。
声が落ち着いていて、耳心地が良いんですよねぇ。

 

あまり背が高くないからか、男役さんと組んで踊っていると更に可愛く見えるし、男役さんを見つめる笑顔がカワイイ。好き。

 

諏訪さき

今一番私が気を取られている諏訪さきくんです。
もうご贔屓って呼んでいいかな…なんかご贔屓と呼ぶまでに勇気が要るんですよね…。

 

最初は、最近抜擢されてる若手さんという印象で名前だけ覚えていて、
ひかりふる路の新聞売りやダヴィットで確かに良い声してるな~、と思って認識し、
Gato Bonitoでのこれぞラテンショーという色っぽさと男くささのある歌唱が素敵で気になりだして。
最終的にはワンスのバグジーで気になって仕方ない状態になり、その頃スカステのゆるりふんわり~やら何やらで続けざまにオフの姿を拝見して、あれよあれよと言う間に落ちていった感じですね。。

しっかりした舞台姿から硬派なのかと思いきや、オフでは笑顔が可愛いくて、まったりした京都弁で、でも手には指輪めっちゃ付けててイケイケか?って感じだし(そして手が綺麗だから指輪が似合う…)、そのギャップの連続にやられました。やはり全てはギャップなのだ。。

 

好きになるきっかけは歌でしたが、ダンスもキレがあり力強く、特に踊りでの手の表情が好き。
手が大きいというか指が長いんだと思うんですが、それをきちんと生かしていて、シルクロードの青幇のダンスはめっちゃ好きです。

fffでは最初の幻想の場面、自由になったウェルテルの軽やかな踊りが、まるで音楽に溶け込んでいるように美しくて…ルイと一緒に夢に誘われるような感覚になりました。
あまりロン毛のイメージが無かったんですが、髪型も含め、ウェルテルの格好がよく似合っていて素敵。

 

新公では壬生義士伝のジロエの、貫禄や優しさ、責任感、内に秘めて苦しむ姿…全てが役そのもので素晴らしかったです。
ピンポイントなんですが、カンイチに「出やってってってくだせ」と言われた後の「…ん。」って返事に、色々な感情が感じられてたまらない。
日本物のお化粧が似合っていて、輪をかけて凛々しく見えました。

幕末太陽傳の徳三郎は、もう単純に可愛くて好きです(笑)
最近はNOW ZOOM MEや、シルクロードのスリなんかでまた可愛い系というか、弟分的な魅力が見れて嬉しい。
あーさのブリネクで大型犬弟分キャラだったのも声を大にしてありがとう!!!と言いたい。可愛さに耐えきれずにベッドをばんばん叩きながら見たし、今もまだ定期的に見返している。

 

彼女に関しては語りきれないのでこれくらいにしておきます。
これからも私のハートをロックオンしていてくれ。。

 

野々花ひまり

ダンスがとっても素敵で、最近ショーでよく見てしまうひまりちゃん。
しなやかな腕の動きが好きなんだと思います。

fffの少年ルイは、雪の降るなか階段を降りていく時の、泣くのを堪らえようとしつつも堪えきれない様子がすごくリアルで。
その後の僕なんて死んじまえ!の台詞も含め、観に行く度にどんどんルイの感情が刺すように感じられるようになって、見る度に心が痛むというか…私的に作中屈指の涙腺ポイントです。。

少年ドンジュアンや、女性ですが男以上に勇ましい義経妖狐のマサコも印象的で、強さのある役が似合うなぁと。

 

でも普段の彼女は日だまりのような笑顔で可愛らしくて。
NOW ZOOM MEではヒロイン的なポジションも多々務めていて、その笑顔がパッと花の咲くような華やかさを放っていました。

ほんものの魔法使いでのヒロインがとても楽しみ!

 

彩みちる

初めて明確に、この人好き!と思った娘役さん。
ドン・ジュアンでのマリアを見て、すぐに心惹かれました。
現代にも通じるような等身大の女性なんだけど、あのドン・ジュアンの石の心を砕く程の神秘性を秘めている、というマリア像がすごく感じられて。

 

マイペースだけど実はしっかりしているPR×PRinceのマリーも好きでした。

壬生義士伝でのみつは、もう可愛くて可愛くて。数々のヒロインを経たとは思えぬ子役っぷりでした。

ワンスのエヴァは、ヌードルスたちの世界にはいない、明るい南国の女っぷりが素敵で。ヌードルスずるい!私もエヴァと遊んでほしい!と思わずにはいられなかった。。

炎のボレロでは、あーさの方にも書きましたが初演とはまた違ったカップルとしてしっかり成立していて。
ツンケンしたクレマンに対して、どこまでも一途に心配して世話を焼くモニカ、という関係性がとても愛しかったです。

 

そしてるろ剣の弥彦、fffのモーツァルトという、少年(青年?)役は見事。
子役という程ではない、男役がやっても良いくらいの年齢の男の子をここまでクオリティ高く演じた娘役は他に見た覚えがないです。
もともと娘役としては低めの声を更に低くし、娘役らしい軽やかな立ち振舞いを封印し、少年らしい熱量がたっぷりで。
「男役が演じるならではの女役」はよくありますが、「娘役が演じるならではの男役」を体現してくれたのではないかと思います。

 

あの丸っこい、落ち着いた声も大好き。朗読CDとか出して欲しい。

オフトークも、若手の頃から自分の言葉で喋れる人だなぁという印象があり、見ていて安心感があります。
表情も可愛らしくてお洒落さんで、スカステなどで拝見するといつも可愛いなぁ~♡となってしまう。

 

希良々うみ

全ツのMusic Revolutionで、一場面あーさの相手役をしていたのを見て認識しました。
歌上手だし、踊りも素敵だし、綺麗だし、誰だこの子は!とびっくり。

一度顔を覚えてしまうと見つけやすく、fffの天使ちゃんはもちろん、シルクロードでも度々目に入る。やっぱり踊りが綺麗ですねぇ。

これから注目の娘役さん。

 

 

眞ノ宮るい

ダンサーさんというイメージが強かったんですが、きぃちゃんの1Dayスペシャルライブではお歌も上手で、お化粧も綺麗で、
そして想像以上にキザっていてこんなにギラギラする子だったのかと!(笑)

fffのラデッキー伯爵ではスタイルの良さ、そのイケメンオーラを改めて感じました。すごく目を惹かれる…。

 

星加梨杏

正直に言うと顔がすごく好き。。。
そして彩みちるちゃんにすごく似てませんか!?一度姉弟役をやってほしい。(ただの私得)

彼女もスタイルが良く、fffで眞ノ宮くんと一緒に立ち話しているとき「こんなイケメンが揃って立ち話してることなんてある!?」と思わずにはいられなかった。
二人揃って私の中での雪組イケメン枠に登録された。

シルクロードではプロローグでソロ歌があり、千夜一夜でも見つけやすく、黒燕尾ではかなり前の方で踊っていたりと、今回たくさん見つけられて嬉しかったです。
歌声も好きだし、踊りもパワフル。

壬生義士伝の新公での斎藤一は、普段の優しげな雰囲気と180度違った、鋭い顔つきと眼光が素敵でした。

 

ゆめ真音

最初に認識したのが、まさかの凱旋門新公だったんですよね…(笑)
さすが美穂さんの役を任されるだけあって、歌声が素敵だな~と。

個性的な役どころが多いからか、その流れでオジさま役が多く、
PR×PRinceのダミアンは、この年次にしてこの安定感…!と驚きでした。
とにかくよく通る声で聞き取りやすいので、長台詞も安定感がある。

炎のボレロでは、姉を心配する優しい弟、という役どころがぴったりでした。

個性のある声なので数人で歌っていても分かりやすく、かつ声がブレないので彼女の声が芯になっているような印象を受けます。

早い退団でとても残念ですが、今後の人生に幸多かれ…!!

 

縣千

ダンスが本当にキレッキレ。雪組において、めちゃくちゃ動いてると思ったら大体あがちゃん。

パッとした雰囲気から体育会系かと思いきや、独特のセンスがある芸術家肌のようで、特にショーではその片鱗が見える気がします。あれっ、今そういう表情するの?みたいな(笑)
見る側としても一筋縄ではいかないというか、その斜め上を行く感が楽しい。

 

ファントム新公では、想像以上に大きな愛に溢れたキャリエールを演じていて素敵でした。
どういう男役になっていくのか未知数なので、これからが楽しみ。

 

彩海せら

恐ろしい子…っっ!!という印象(笑)

理屈じゃないキラキラ感に加え、よく通るブレない声、丁寧な歌唱。
NOW ZOOM MEのプロローグでは彼女の歌声がよく聞こえ、DIARYのカゲソロも素敵でした。

fffでは、望海ルイの若い頃だと納得できる、血気盛んな青年らしさに溢れていて。
「人間の時代…」と歌い上げる声が真っ直ぐに飛んできて、立ち姿は煌めいていて、スターの風格すら感じました。

 

お芝居では、壬生義士伝でのカンイチの印象が強いです。
少し幼さはあるものの、武士・吉村貫一郎としての生き様がしっかりと感じられて。

ワンス新公のジミーも、スカステの断片映像を見る限りとても良さそうだったので、もし全編放送があったら注目したい。

PR×PRinceでのヴァルテリは、彼女の少年っぽさ+ハキハキした持ち味がマッチした役で、とにかく可愛かった!

 

本人的にダンスは苦手だそうですが、舞台上では全然そんなことは感じられなくて。
NOW ZOOM MEでの黒燕尾はすごくカッコよくて、それが一番恐ろしい子…っ!と思った所以です(笑)

 

一禾あお

めちゃくちゃ目に飛び込んでくる。あのキラキラ感はなんなのか。

PR×PRinceで認識して、舞台度胸があって明るさ満開で面白い子だな、という印象だったんですが、
きぃちゃんの1Dayスペシャルライブでのガムシャラオラオラ感が想像以上に凄くて!(笑)
画面越しなのに目が合ったとしか思えない目力&アピール力のおかげで、臨場感あふれるとっても楽しい時間を過ごさせていただきました。

 

fffでも、ラッパ大砲を押してくる姿さえ目に飛び込んでくる不思議。
炎の楽員としてのダンス、やはり特にハイリゲンシュタットの遺書はパワーに溢れていて見事。

スカステでのトークを見ると、オフでは意外と(?)落ち着いた雰囲気なのかなという印象もあって、オフの姿もちょっと気になっている。

 

有栖妃華

とにかく歌声が素敵。シルクロードのエトワールも本当に素敵ですね。。
お目々ぱっちりで、キャラバン隊では少女っぽさのある可愛さで、ついつい目で追ってしまう。

今後も色々な歌を聴きたいですし、色んな役が見たいです。

 

夢白あや

美人さんで、かつ金髪が似合う白いお肌。
リッツ・ホテル~のキスミンはまさにそんなイメージで、すごく可愛らしかったです。

しかしサパのイエレナはそれを覆す演技を見せてくれて、こんなことも出来るのかと驚きでした。
さすがにあそこまでの役はなかなか来ないと思いますが、あの演技力があるのだから、今後も色んな役を演じて欲しいなと思います。

 

聖海由侑

NOW ZOOM MEでひかりふる路の歌い出しという大役を任されていて、かつ客席へのアピールが凄くて、(2階席から見下ろす形でしたがw)それから認識しました。
下級生さんがお手振りとかウインクとか思いっきりやってくれると、嬉しさと微笑ましさとですごく幸せな気持ちになりますよねぇ。

魅惑のボーカリストとキャッチコピーを付けるだけのことはある、伸び伸びとした良い歌声。これからの歌う機会が楽しみです。

そして、歌の人かと思いきや、ダンスもすごくダイナミックで!
fffでの炎の楽員もですし、シルクロードの「キャラバンは征く」では端っこで身体いっぱいに踊っていて、パッと目に入ってきました。

 

壮海はるま

この学年にしてこの安定感。。
ビジュアルのおかげもありますが、壬生義士伝では台詞を発していてもきちんと深みが感じられました。

とはいえまだ幼さも残っているので、今後男役を磨がかれていくのが楽しみ。

 

音彩唯

炎のボレロのフラスキータで、すっごい小顔で可愛いなぁと認識したんですが、
その後の凪様1Dayスペシャルライブでの姿が凄く綺麗で可愛らしくて、一気に注目の娘役さんになりました!

スタイルが私好みなのか、踊りにしてもちょっとした動きにしても綺麗だなぁ~と。
歌声も綺麗だし、英語が話せる(?)とのことで、今後それをきっかけにした出番もあるかもですねぇ。

 

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明日はついに大千秋楽、そして卒業の日。
寂しい気持ちは募りますが、とにかく無事に公演が終えられることを祈っています。

雪組、どっせーーーい!!!!!

雪組公演fff 色々情報を仕入れての覚え書き<その2>

前回の記事の続きで、当時の戦闘技術についてと、カントについてもざざっと読んだ本があるので覚え書き。
図書館の返却期限が来ちゃったので完読してはいない(図書館大好きマン)

 

www.sogensha.co.jp

戦術書って今あるのかしら?と思ったら、分厚いのがあった。

純粋に、昔の戦闘や戦術の記録がこんなに残ってるんだ!というのに驚き。

確かに日本史では織田信長の鉄砲隊が…みたいな話は聞くので、海外でも同じように記録が残されていても何ら不思議はないんですよね。
しかし国境を跨いでの戦争なので、スケールがでかい…。

 

兵の種類(歩兵、騎兵、擲弾兵etc.)や、数々の戦線の記録等々が、図解も交えて記されています。

マレンゴの戦いについても少し触れられていましたが、それはネットで見た方が詳しかったかな。ナポレオンが敵情を誤認して劣勢になったけれども、援軍が駆けつけて辛勝した、とのことで。
fffだとめっちゃカッコイイ感じになってますけど、ナポレオンも間違えることはある、人間だもの。

 

台詞で「胸甲騎兵はマレンゴに援軍に向かい…」というのがありますが、
胸甲騎兵というのはその名の通り甲冑を着て馬に跨った兵士なので、舞台上に胸甲騎兵は一人もいないんですよね。
頭の中で、向こうの方に胸甲騎兵がいるのだと想像して観ています(笑)

ちなみに、”フランス騎兵、なかでも胸甲騎兵は、ナポレオン戦争の戦場において支配的な部隊だった”とのこと。
ただしロシア戦役で騎兵部隊が崩壊して優秀な古参兵を失い、大幅に戦力を落としたのだとか。新兵は戦闘以前に落馬してしまうような者もいて、上官は頭を悩ませていたそうです。

そもそも、元々軍人として働いていた貴族がフランス革命で追い出され、軍隊が素人集団となってしまっていたのを、
ナポレオンが貴族出身の優秀な軍人を呼び戻し、貴族平民問わず優秀な人材を確保することができたんだそうで。軍人の教育にも力を注いでいたようです。

技術面ももちろん大切ですが、傭兵など士気の低い兵は敵前逃亡するだけでなく、わざと馬に怪我をさせて後方に回ったりすることもあったそうで。
宝塚の舞台を見ていても、皇室の人間や貴族が前線へ出なければ兵士の士気が保てない、みたいな台詞が時々ありますが、
士気を保つのは確かに重要なことだったんだなと改めて。

 

Twitterにも書きましたが、雪原で倒れてる兵士たちは、ナポレオン戦争の場面と同じ面子なんですよね。
パンフでの役名も、たっちーは「ナポレオンの副官」、汐聖くんは「ナポレオンの軍医」なので、確実に同一人物。
オーストリア軍との戦いから長い間共に戦ってきた、優秀で忠実な"我が兵士"たちをロシアで死なせてしまったっていうのがまた辛いんですよね。。
(ただ8人のうち、常時出演メンバー7人は確実にナポレオン戦争に出てるんですが、あと一人を誰が演っているのか確認できておらず…。不思議とあみちゃんは出てないんですよね。「彼女の名前」ではフランス兵として出てくるのに。)

 

本の話に戻ると、隊列についても各役職の配置など含めて図解してあって面白い。
それまで三列横隊が主だったのを、ナポレオンは横隊と縦隊を組み合わせた混合隊形を好んで用いて、諸外国はこの戦術になかなか対応出来なかったのだとか。

 

半分くらいをざっと流し読みした程度ですが、面白かったのでまた読みたいです。
最後の章は海戦で、ネルソンやトラファルガーの戦いについても書かれていました。ゆうひさん・・・

 

 

 

www.amazon.co.jp

 

ドイツ出身ユダヤ人のフリートレンダーという方が1924年に書かれた本を、長倉さんという方が2004年に邦訳されたもの。

道徳教育のために書かれたそうで、序文以外は「道徳の授業のための問題集」という位置づけのようです。
一問一答のような形式で書かれ、一気に読む本というよりは「授業」として時間をかけて、時には同じような事柄を違った視点から確認し直しながら、徐々に理解を深めていくためのテキスト、という感じがします。

いかにも子供向けというやさしい内容ではなく、訳者あとがきでも

わが国でドイツと同じ年代層の生徒[子ども]に理解できるのかといえば頸を傾げざるをえない。ちょっと難解な第三章の一部を除くとしても、残念がら無理かもしれないと思ってしまう。大学生ですら、難しいという声が出そうである

と書かれています。
日本では、一段一段論理を積み上げていく思考の訓練が大学生でも欠けている、といったご意見。
そもそもドイツにおいても、実際どのくらい道徳教育として使われていたのか分かりませんが。。


私も読みつつ、これ図解した方が分かりやすいのでは?とか、結論をわかりやすく書いてくれ…とか思ってしまったのですが、まさにそれがダメなんだよと言われたようでぐぬぬ…となりましたw

 

序文、1章「何を行うべきなのか」、2章「何を希望することが許されるのか」、3章「何を知ることができるのか」で構成されています。

2章までは、独特と感じる部分はありながらも確かに道徳教育らしく、理解できる部分が多かったです。
ちょっとひかりふる路のマクシムを思い出したりしました。

3章に入ってくるといよいよ哲学的になってきて、こりゃ~時間をかけないと読めないぞ…という印象。
独特な言葉の使い方があるので、私は途中で「自然」が一般的な意味で使っているのか、カント用語的な意味で使っているのかよく分からなくなってきましたw

 

それでも、カント特有の専門用語はほとんど使っていないとのことで、私のような初心者にはとっつきやすい部類なのだと思います。
確かに図書館で「カント入門」という本を開いた時は、専門用語だらけでOh…となったので。(笑)
最初からじっくり読めばいけるのかもしれませんが…まさに学問という感じ。

カントを読んだというルイに、ナポレオンがかける台詞が「本当に読んだのか?」なのも、それだけ難解なんだな…ということを、ほんの一端ではありますが身を持って感じました(笑)

 

あと、読んでいて最初にあぁ~と思ったのは、読者は何かの宗教を信仰しているという前提で書かれているということ。

信仰や祖国愛よりも、理性がまず先にくる。
理性を持つ人間にはじめて、信仰する自由が得られる。
外から信仰を植え付けられて育てられるのではなく、道徳的に行為することで、自ずから敬虔に信じるようにもなるのだ。

・・・というようなことが書かれていました。
序文で、この本は宗教教育とは別の授業として取り扱ってもらいたい、みたいなことも書かれていて、
当時は道徳教育と宗教教育はほとんどイコールだったんだなと伺えました。

私は無宗教者で、人はそれぞれに自分の哲学を持って(=自分の頭で考えて納得して)行動すべきと思っている派なので、
まさしく「信仰や祖国愛よりも、理性がまず先にくる」というのは当たり前だと感じていて、
逆に産まれた時から宗教教育されて育った場合はどういう思考回路になるのかが感覚として分からないんですよね。

厳格な宗教観念を持っている人々にとっては、フリートレンダーさんは主張はとても斬新な考えだったのかもしれません。
今、他の国での道徳教育ってどうなってるんだろうなぁ。

 

 

 

という感じで、やっぱり情報を仕入れると想像が広がりますね~~楽しい。。

だいきほをはじめとする雪組生の退団が寂しいのはもちろん、この公演が終わってしまうのも本当に寂しいです。
しかしBD発売が延期されたので、逆に4/20までは堂々と(?)この世界に浸ってられるな!!と思ったりしています。

何よりも、無事に千秋楽を迎えられることを祈るばかりです。
あ~~~雪組さん、スタッフのみなさん、素敵な作品をありがとう。大好きだ~~~!!!

雪組公演fff 色々情報を仕入れての覚え書き<その1>

以前初見段階での解釈や疑問点を書いたんですが↓、

雪組公演fff 初見&脚本読了後時点での解釈と疑問点 - ひのひなどりから

それからググったり本読んだりしてはぁ~なるほどなぁ~と思ったことが色々あったので、感想と覚え書き。

 

www.heibonsha.co.jp

 

まずこの本が大当たりだったのでオススメ。
これは2018年出版ですが、2009年に出版された物の再刊だそうです。
ロマン・ロラン著の古い伝記の邦題と同じタイトルなので紛らわしいですが、全く別の本です。

読んでる間、上田先生絶対この本読んだんだろうな…と何度も思いました(笑)
かなり有名どころの本のようなので、実際読んでらっしゃるのではないかと。

例えば下記のような記述。

1815年10月19日付のエルデーディ夫人への手紙には、そうした彼の心情がうかがえる。
「無限の精神の体現者でありながら有限の存在である私たちは、苦悩と歓喜の両方を耐えるべく生まれついているのです。そして私たちにとって最善のことは、苦悩を通じて歓喜をかちうることだと申しても良いでしょう」
この「苦悩を通じて歓喜へ」という言葉は、のちにベートーヴェンの名文句として広く知られるようになったが、初出はこれである。

「苦悩を通じて歓喜へ」という名文句は昔から有名なようですが、他にもfffのベートーヴェン像に通ずるエピソードや著者の推察をたくさん拝見できて面白かったです。

素人目ではありますが、内容も信頼のおけるものだと感じました。
伝記には(著者の意図に関わらず)誇張や誤りが付きものですが、そういったことを極力排除し、正しいベートーヴェンの姿を伝えようと尽力された著者の姿勢が伺えます。

その上で、著者のベートーヴェン愛が感じられるのも読んでいて気持ちよかったです。
当時のヨーロッパ情勢なども書いてくれていて、詳しくない人間には有り難かった。

 

あと、fffの世界と照らし合わせると滾る~!!と特に思った点をいくつか。
今本が手元にないので、引用や内容に誤りがあったらすみません。

<ルドルフ大公について>

若い世代には、ベートーヴェンは最も魅力的な音楽家だった。その一例が、この年に作品(ピオノ協奏曲第四番)をはじめて献呈されているルドルフ大公である。現皇帝の異父弟で当時18歳、本来なら軍務につくべきところだが、病弱傾向だったため僧職を運命づけられていた。幼い頃から音楽の才に恵まれ、15歳の頃、自分から選んでベートーヴェンを師としている。温厚な性格であったらしく、気まぐれなところもあるベートーヴェンと一度も対立することなく、終生パトロンとなって傑作の数々を贈られている。 

夢広がる・・・めっちゃ夢広がる・・・。

  • 弟子をとることが稀になっていたベートーヴェンが、積極的に弟子にしたのがツェルニーとリース、ルドルフ大公だった。
  • ベートーヴェンがウィーンの音楽界を見限って外国へ行ってしまわないよう、ウィーンに留まることを条件に多額の年金を出されていて、その出資者の一人がルドルフ大公だった。
  • ナポレオン軍の脅威にさらされ、ウィーンから出発する皇族一族につきそったルドルフ大公に贈ろうとして「ピアノ・ソナタ第二十六番<告別>」が書き始められた。
  • ↑に対して、”おそらく若い大公は、ウィーンに残る師の身を案じて、年金の先払いなどの配慮をしてくれたのではないだろうか。”という著者は推察している。
    その御礼として曲を献呈しようと思ったわけですね。
  • 晩年の大曲「ミサ・ソレムニス」は、オルミュッツの大司教に任ぜられたルドルフ大公の叙任式のために書かれている。(実際は力を入れすぎて叙任式には間に合わなかった。)
  • ↑はただの機会音楽ではなく、重い不調から回復したベートーヴェン”苦難の淵から救われたものの神への感謝の歌を、生涯の総決算として書き遺したいと考えたに違いない。すでに『日記』の十八年の頁に、教会音楽への強い関心がしるされており、これが彼の「ミサ・ソレムニス」(作品123)の最初の動機と考えられている。”と著者は推察している。
    その通りなら、ルドルフ大公は生涯の総決算の曲を献呈するに値する相手だったわけですよね。。

fffのストーリー上だと弟子としての姿は描かれておらず、大公はほぼ常に皇室ファミリー+メッテルニヒと行動を共にしているのでルイはツンケンしていますが、
人間としての大公とは良い関係を築けていたのかなぁと夢広がります。

望海ルイにピアノ教わってるあやな大公とかめちゃくちゃ見たいな・・・。

 

あとメッテルニヒ体制において、

1802年には、当時の警視総監セドルニツキー伯爵が、彼を逮捕すべきかどうかを皇帝に物申している。それが見送られたのは、第一に、ベートーヴェン自身が持っていた全ヨーロッパ的な名声だった。
~中略~

またベートーヴェンは、長年にわたるルドルフ大公の音楽の師であった。大公は現皇帝の異母弟の上、当時オルミュッツの大司教だった。しかも、その大公のためにちょうどその頃ベートーヴェンは「ミサ・ソレムニス」を作曲中であった。
けっきょく当局は、ベートーヴェンの言動を十分把握してはいたが、それを奇人変人のたわ言として処理することを選んだものと思われる。

というのがあって、ある意味ルイはルドルフ大公にも守られていたんだなと。

 

<ブロイニング家について>

これまでしつけをおろそかにされてきたルートヴィヒに、ブロイニング夫人は、食事のマナーや服装などについても小まめに注意を与えたが、強情な所もある彼も夫人の言葉なら素直に聴くことができた。後年彼は、「夫人のお小言」をなつかしく回想している。

ほ、微笑ましい~~~!!
史実ではブロイニング家に住んでいたわけではなく、頻繁に通っていたくらいのようですが、
fffの流れではしばらく住む流れなので、ますます微笑ましいですね。
愛すみれ夫人にナイフとフォークの持ち方直されたり、服装が乱れてるのを注意されるひまり少年ルイ。子供扱いされてちょっと不服でも強く言い返せない青年ルイ。良い。。

 

あと、fffではロールヘンの妹がいますが、実際は弟が3人だったんですね。

ベートヴェンはロールヘンと末っ子のローレンツにピアノを教えていて、
次男のシュテファンとは同じ先生からヴァイオリンを習う親しい仲になったとか。

 

それから、史実ではロールヘンはお産で亡くなるということもなく、ルイがボンへ帰ったこともないようです。
逆にゲルハルトとロールヘンが、ナポレオン軍から逃れるために一時期ウィーンに滞在していたとか。

また、シュテファンの息子はゲルハルトという名前で!
ベートーヴェンは晩年シュテファン家の近くに住んでいて、このゲルハルト少年をとても可愛がって「アリエル」と呼んでおり、
ゲルハルト少年もベートーヴェンを慕って、体調を崩していている彼の家にしょっちゅうお遣いに来たり、一緒に散歩したりしていたとか。

fffの世界だとシュテファンはいないのでゲルハルト少年もいませんが、
ベートーヴェンはそもそも結構子供好きだったらしく、子供好きの望海ルイを想像すると微笑ましい。

 

メッテルニヒについて>

ザント事件のような危険な「テロ」を「未然に防ぐ」ためと称して、反体制的な言論や出版の自由への容赦ない弾圧に乗り出したのだった。事件の五ヶ月後には「カールスバート議定書」なるものを交付して、これが長くヨーロッパを、悪名高い「ウィーン体制」の許に置くことになった。その結果、新聞や雑誌をはじめ、芝居やオペラの台本にまで及ぶきびしい検閲、反体制派と見られた教授たちの追放、詩人や作家の監視や拘束、はては個人の私信までもが検閲の対象となった。また当時のウィーンには、正規のスパイが七千人ないし一万人も配置されていたが、秘密警察はそれ以外に、多くの馭者、ボーイ、従者、娼婦などにも情報の提供を求めていたという。まさに密告社会である。

「私の警察組織を甘く見ないほうがいい」の台詞が深みを増しますね。。
密告社会というと東ドイツのイメージがありましたが、この時代、この場所もそんな感じだったんですね。

 

ゲーテについて>

まず、ベートーヴェンは昔からゲーテを大尊敬していましたが、ある時ゲーテと親しくしている女性と知り合い、彼女から紹介してもらったそうですね。

ゲーテは保養のために、ボヘミアには毎年数ヶ月間滞在していたそうで。
ベートーヴェンは当時から体調を崩しがちだったので、ボヘミアなら保養地だから医者も賛成するだろうという算段のもと、実際はゲーテに会いたくてボヘミアへ行ったけれども、はじめの年は時期が会わなくて会えなかったのだとか。
あわよくば推しに会いたいファンの行動に近いものを感じる。。

翌年、ベートーヴェンゲーテと対面して話す前に、オーストリア皇帝夫妻を接待する彼を見ていたらしいんですね。それで、あまりにも普通の宮廷人らしい姿に幻滅したのかもしれない、と。

その後ゲーテの方から宿を訪ねてきて、ベートーヴェンをひどく気に入り、毎日のように一緒に出掛けたが、ベートーヴェンゲーテの宮廷人としての構えを崩してやろうと、あえて憎まれ口を聴いたり無礼な態度をとる。そんな彼をゲーテは寛大に許している。

それから諸々の経緯があって、ゲーテが本心から自分を評価してくれていると知ったベートーヴェンは、ウィーンに帰る前に自らゲーテの許を訪ねている。

「レオノーレ」の最初の版のナレーションに「兄のようなゲーテとしてその言葉を取り入れるほど心を寄せていた、とのこと。

 

fffでのゲーテとの和解は「本当に書きたかったもの」を見つけたことで表されているんですよね。
面と向かっての芝居では幻滅して終わってしまうので(笑)、史実ではこういうことがあったと知って想像が膨らみました。

 

<その他もろもろ>

当時は貴族のサロンで演奏することが多く、ラズモフスキー宮殿ではお抱えの弦楽四重奏団ベートーヴェンが曲を書き、一緒に演奏していたりもしていたと。
四重奏団の中に仲の良い音楽仲間もいて、ラズモフスキー伯爵自身も音楽家であり、しょっちゅう宮殿に通って、充実した時間を過ごしていたそうで。
ところが1814年、ウィーン会議の夜会のために会場を提供していたラズモフスキー宮殿が、火災で消失。
弦楽四重奏団も解散され、ウィーンを去った音楽仲間もいたのだとか。

 

fffでウィーン会議というとあのシーンじゃないですか…あの辛いシーンの前後にそんなことが…?と思うと更に辛い。。

 

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ベートーヴェンは、ナポレオンについて知人にこう話したとのこと。

「私が音楽の技法と同じくらい戦術を知らないのは残念だ。私は彼を打ち負かしただろうに!」

"最後のピアノ協奏曲「皇帝」はエロイカの系譜に属しているが、フランス皇帝となったナポレオンに対して、自らを音楽の世界の皇帝として対峙させていたのではないか。"と著者は推察しています。めっちゃfffみがある。。

 

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ベートーヴェンはとても自然を愛していて、自然の中を散歩してインスピレーションを得ることもしょっちゅうだったそうです。
他人の目から見ても、こんなに自然を愛する人には出会ったことがない、と語られたくらいなのだとか。

そして実は結構社交的ではありながら、感情の起伏が激しく、人と衝突することもしばしば。
耳が聞こえなくなってからは、それが原因になった部分は多々あるのでしょうが。

 

芸術と学問を愛し、自然を愛し、社交的だけれど気難しいところもあり、感情の起伏が激しい・・・というのが、
まるでウェルテルのようだなと。二人の重なりが一層増して感じられました。

 

 

 

意外と長くなってしまったので、この記事はひとまずこれ1冊で!
おお!と思う部分が山程あって、上記はほんの一部です。

歴史も、後になって新事実が発覚したり、従来の説に矛盾点が見つかったり…ということがあるので、やっぱり新しく書かれたものの方が良いんだろうなと読みながら改めて感じました。

この本ももう10年前のものとはいえ、日本語で詳しく書かれた伝記としては最新の部類のようなので、そういう点でもオススメ。

宝塚歌劇の生徒さんの好きなところを本能のままに書く(雪組編Part1<望海風斗・真彩希帆>)

現在トップコンビ退団公演中の雪組さん。
先日fff・シルクロード・サヨナラショーをLIVE配信で拝見し、大感動でございました。

ワンスで諏訪さきさんが気になりだし、NOW ZOOM MEで雪組熱が一気に高まったこともあり、今の私の脳内は雪組祭です。
部屋に2つあるアクリルフレームには、どちらもだいきほのポストカードが飾ってあります。(何の告白?)

ということで雪組編を書いていましたが、
トップコンビだけでえらく長く語ってしまったので、
今回はPart1ということでお二人のみ。

 

望海風斗

体の中に活火山でも飼ってるのか???と思うくらい無尽蔵の力を感じる。
昔は望海風斗=パッション!!!と思ってたんですが、もうパッションの域を超えている気がします。

そして、エネルギーを蓄えているというより、エネルギーが上手く循環してるという表現がしっくり来る感じ。

歌う姿を見ていて特に思うんですが、
周りの空気を吸い込んでは、自分のエネルギーに換えて出す、みたいな・・・。
物理的には呼吸が上手くいってるってことだと思うんですが、
酸素だけじゃなく、漂う”気”みたいなものも取り込んでるように見えるんですよね。抽象的ですけど。

確かひかふる(ファントムかも?)の時に仰っていた、
「歌うのにすごくエネルギーが必要だけど、歌えば歌うほど元気になる」
という旨の話も、そういうことなのかなと思います。

 

fffのパンフレットで菅野よう子先生が「声に共振の力がある」と述べられていたのもすごくしっくり来ました。
声の届く空間すべてが震わされて一体化しているような。
何故か、だいもんの歌を聴いていると自分もあんな風に歌えるような気がしてくるんですよね、そんなはず無いんですけどw
確かあやなちゃんも同じようなことを言っていたので(笑)、
まさに彼女が周りを「共振」させている結果、聞いている側はそう感じるのかもしれないです。

 

歌はずっと評価されていますが、トップになってから明らかに表現力が進化しているのがまた凄い。
さり気ない声色の変化や、発音の美しさに心奪われるんですよね。。
花組時代の映像を見返しても文句なしに上手いし魅力もあるんですが、
それでも今のだいもんと比べたら全然”普通”だな…と感じちゃったりする(特にショー)。

その進化も、端々に感じられる音楽に対してのピュアで真摯な姿勢ゆえなのかなと。
周りからこれだけ評価されていながら、自分の音楽街道まっしぐらという感じは一切なく、
どんどん新しいことを学んで、表現の自由度を広げている印象を受けます。
これは各方面の作曲家の皆様とコラボしたり、毎公演歌唱指導の先生が付くようになった(昔はついてなかったと聞いたような。)お陰もあると思うので、劇団にも感謝です。

 

そして歌のない芝居でも、発するエネルギーが凄くて。
パッと浮かぶのは、

ドン・ジュアンが最初に発する高笑い、石のような心をマリアに砕かれる瞬間、
舞台下手で泣き崩れるマクシム、
クリスティーヌに顔を見せ、逃げ去られて泣き崩れるまでのエリック、
常にエネルギー満タンのオスカーおじさん、
薔薇を投げ散らすヌードルス

オスカーおじさんだけ浮いてるな…w
他にもまだまだ、幾度となく彼女のエネルギーに圧倒されました。

発散する芝居はもちろん、内側にグッと抑えている時の、
心臓が潰れそうなくらい苦しいんだろうな、という様子は見ていて本当に堪らなくて、こちらも一緒に苦しくなります。

強い意思を持つ役柄では、佇んでいるだけで心の重みが感じられるからこそ、
どれだけ叫んだり暴れたりしても不自然じゃない
んですよね。
特にヌードルス役ではその素晴らしさが遺憾なく発揮されていました。

 

あと泣きの演技が巧い
マクシムやエリックの時は、本当に泣いてる?とオペラを覗き込んだけど泣いてないというのを毎回やった気がしますw
本当~に可哀想で可哀想で・・・ふかふかのお布団で包んであげたい。。

 

そして少なからず計算して芝居を作ってるはずですが、
多分、彼女の中でも計算外に感情が行き過ぎてしまうことがあるんじゃないかと感じます。それが好き。

コップに水を注ぐ作業に例えると、
完全に計算された芝居は常に表面張力ぎりぎりで止まるところを、
だいもんはたま~に水がこぼれちゃう、みたいな。
でもそこに役の人間らしさが感じられるし、舞台ってナマモノだなと感じられるんですよね。

 

ケイレブのジムみたいな普通~の、若干ポケッとした役も好き。
こういう役ももっと見てみたかったですが、如何せん見たい役が多すぎた。。

 

突然細かい話になりますが、彼女の伏し目が好き。
目元もだし、伏し目だとあの美しい鼻筋が更に引き立つ感じがする。
色気ある伏し目も好きだし、NZMの弾き語りでの優しい表情もたまらない。

表情で言うと、正体を明かした謎の女を見つめるルートヴィヒの表情が、
本当に慈しみそのものすぎて、人間ってこんな表情出来るんだ…と思いました。

あと、アル・カポネでは壮年期(?)の時に表情筋で顔を作ってるというか。
最初、刑務所内のシーンで出てきた時は「だいもんいつもと顔違うやん!?」と衝撃でした。

 

ショーにおいても、格好良さと同時に
「舞台に立ってるの楽しい!男役できるの嬉しい!」という気持ちが
まるで下級生を見ているかのようにダイレクトに感じられて、こちらも見ていて楽しくなる。

特にガトボニは全編彼女のパッションに支配されたかのようなショーで、
プロローグで咲ちゃんが歌う歌詞そのまんまだな、と最近気付きました。

ショーでの掛け声も好き。
スカステのリクエストスター名場面(だっけ?)での
掛け声ダイジェスト、すっごく楽しかったです(笑)
アドリブにおいて、最終的にはあのええ声での雄叫びでオチがつけられるという力技感も好きw

 

オフでは、気取らないというか、気取れない人なのかなという印象があります。
個人的にカフェブレのズカキュンみたいなリアル彼氏ネタはあまり求めてないので(それを演って照れてるジェンヌさんを見るのは好きだが)、
そういったものに意地でも乗っからないだいもんに、内心いいぞいいぞ!と思ってました(笑)
いや乗っかる人が嫌いとかでは全然ないんですけど(何せ私は七海さんファンである)、宝塚がそういうものだと思われたら嫌だな~と若干モヤッとしてしまう…。

結構な学年差の下級生の前でも思いっきりおふざけしてたり(笑)、
組の中で伸び伸びやってるんだな~というのも安心感があります。

そしてあれだけ歌の実力や知見を持ちながらも、
歌が苦手と言われているタニさんの大ファン、というのもめちゃくちゃ宝塚的感覚の持ち主だなと思っていて、そこにも安心感。
そういう人がタカラジェンヌに向いているんだろうと思います。
何せ大成功した宝塚オタク(byまっちー)ですからね。。

最後の最後まで、宝塚へのピュアな情熱を舞台に注ぐことが出来るよう、私は祈るのみです。

 

真彩希帆

トップ娘役に就任してから、歌・ダンス・芝居・美しさ等々、
全てにおいて成長しているのが凄い。
一人の女性としての成長を尊敬してしまう。

主演したミュージックサロンは、もう家で一人ではしゃいだり笑ったり泣いたりしてしまったくらい本当に素晴らしかったです。
まだ研9、男役だったらやっと一人前になる手前くらいの舞台歴で、
こんなに素敵なエンターテイメントを魅せられる、というのは凄いとしか言いようがない。
宝塚に入ってくれてありがとうございます。

 

細いのによく通る、不思議な声。
細いと言っても”か細い”というのではなくて、
針に糸を通すような繊細さというか…。
きぃちゃんの歌声は、未だにどう表現したら良いのか分かりません。
初めて聴いたときは、あの声色でピアニッシモで歌えるのが不思議でならなかったです。

ガラスに太陽の光が当たってキラキラしているような声
というのが今のところ一番近い感覚かなぁ…。

 

だいもんと同じく音楽に対してピュアで、ただただ歌うことが好きだからこそ、
ここまで歌で表現できるようになるんだろうなぁと。
彼女の歌も、ちょっとした声色の変化、発音の美しさに惹き付けられます。

好きな歌は山程あって挙げきれませんが、
個人的にシャロンのテーマ」の、自由で知的で、どこか謎めいた女性らしい雰囲気が大好きで、これからもずっと彼女の歌として印象に残ると思います。
先日サヨナラショーでも歌われていて嬉しかったです。
あと、ミュサロで歌っていた「Dancing In The Dark」「私の心は」も大好き。
大人っぽい役を数多く演じてきただけあって、ムードのある曲が本当に素敵。
「Dancing~」はだいもんとのデュエットダンス曲でもありますが、がっつりデュエットで歌うのも聴いてみたい!
作詞された「My Everlasting Dream」も素敵でしたね…泣くよこんなの…。

ファントムは、「雲雀のように響き渡る天使の声」に説得力がありすぎました。
農場育ちの素朴な娘の歌から、初々しくも素晴らしい歌手に育ってからの歌、
そしてエリックの為だけに歌う愛の歌・・・と、
その時々のクリスティーヌの歌として成立していて、こちらもエリックと一緒に心打たれてしまう感覚でした。

 

ダンスもカッコよくて綺麗で好き!
ご本人も語っていますが、やっぱりガトボニからぐっと魅力的になった印象です。
特にパワフルな振りのダンスが好き。

彼女は割と肩が真っ直ぐで、肩幅もどちらかというと広い方かなと思うんですが、
それを肩のラインが見える衣装で綺麗~に見せているのが素敵で、大人っぽい魅力を際立たせている気がします。
私も真っ直ぐで幅広な肩なので憧れます…まぁそんなドレッシーな服着る機会ないですけど(笑)

デュエットダンスでは肩のラインが見える衣装が多いので、そういったビジュアル込みで好き。

 

お芝居では、ファントムの「私の真の愛」の直後、客席の心が一つになると名高い(?)あのシーン。
今まではまさしくクリスティーヌお前ェ…という印象だったんですが、
きぃちゃんのクリスティーヌは、エリックの顔が恐ろしくて逃げたというより、
顔を見たことで初めて彼の絶望を悟り、救いを求めるように向かってくる彼を受け止めきれなかった、という心が見えて、このシーンの印象が変わりました。
エリックを笑顔のまま見つめ、ベンチにぶつかって初めて自分が後ずさっていたことに気付き、弾かれたように逃げ出す…という一連の流れが、
見てる側としても長い時間に感じられたし、クリスティーヌにとってもそうだったのではないかと。

「20世紀号に乗って」のリリーは、ほんっとうにパワフルで強くて可愛くて面白くて!数々の大ナンバーでは、ショーでの”太陽の女S”みたいなきぃちゃんの輝きが舞台いっぱいに放たれていて、素晴らしかったです。
かなり長いナンバーもありましたが、このままずっと聴いていたい・・・と思いながら聴いてました。

ワンスでは、様々な年齢を演じ分けるだけでなく、
どの年代のデボラもそれぞれに魅力的に見えたのが素敵だったなぁと。
子供時代から少し大人びていて、でも年相応の少女らしい可愛らしさもあり、
ヌードルスからもマックスからも惚れられることに納得でした。

 

インタビューや番組等々での明るい雰囲気、きちんと喋れるところも見ていて気持ち良いです。
遠慮しすぎずに話せている様子を見ると、良い意味で自信を持てている印象を受けて安心できるんですよね。

元々明るくキラキラした魅力を持っていましたが、経験を積んで
自信が持てているゆえの内側からの煌めきが増しているように感じます。

 

キラキラと言えば、目元をふっと緩めるようなきぃちゃんの表情、めっちゃくちゃ可愛いですよね…。
今思えば、SUPER VOYAGER!冒頭のご令嬢きぃちゃんのあの笑顔を見て、
彼女に落ちたと言っても過言ではないなと思います。可愛かった…。

 

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こんなに語りたいことがあったんだなと自分でもびっくりしました。。(これでもだいぶ削った)

このお二人のトップ就任当初は、その実力から
「それぞれが独立して輝けるトップコンビになるだろう」という空気感がファンの間でもあった気がしますが、
その通りになっただけでなく、コンビ人気が予想以上に高まったように感じます。

特に退団に向けて、劇団側もコンビ供給してくれているというか(笑)
デュエットCD楽しみですね!!

ファントムとかMusic is My Lifeの歌詞とか、これぞエモいというやつですよね。。
fffでも男女の恋愛ではなく、「運命の恋人」という関係性がこの二人にぴったりで。
音楽が二人を繋ぎ、こうして素晴らしい音楽を生んできてくれたことに感謝しかありません。
ありがとう、だいきほ。

最後の最後まで二人の音楽、舞台を楽しみ尽くしたいと思います。

雪組公演fff 初見&脚本読了後時点での解釈と疑問点

fff、大劇場千秋楽LIVE配信で初観劇しましたが、魂で感じたというか・・・アドレナリンとドーパミンがドバドバ分泌されるような舞台でした。

ルートヴィヒから放たれる凄みに圧倒され、謎の女に惹き込まれ、舞台に息づく存在たちに心寄せ、気付けば息を止めて見入ることを一時間半の間に何度も繰り返していました。

 

そして魂で感じたとはいえ、色々調べて考えたい部分も盛り沢山でした。
既にネットでちょいちょいとは調べてはしまいましたが、
本格的に情報を仕入れる前に、現段階での解釈を残しておこうと思います。
第一印象は大事。 

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謎の女≒人類の不幸≒運命の恋人

「あなたの想像の生き物」と語る一方で「みんなのところにいた」彼女。

彼女の本質的な正体は『人類の不幸』であって、
ルイの魂を通して見える姿が『謎の女』であり、
ルイだけの『運命の恋人』なのだと解釈しています。

『謎の女』と『運命の恋人』は狭義でイコールだけど、
『人類の不幸』は狭義では異なり、広義ではイコールというイメージ。

だからルイが『運命』と名付けた後も、モーツァルトは彼女を『不幸』と呼ぶ。
(「運命と一緒になって喜びを歌ってる」だと伝わりづらいという理由もあると思いますが)

 

父に苦しめられていた「不幸の記憶」でルイに見えていた『謎の女』は、
ブロイニング家に迎え入れられる「救済の記憶」で見えなくなり、
代わりに小さな炎が灯もる。
その後も『人類の不幸』はずっと存在しているけれど、
『謎の女』としてルイに見えるのは、ルイに降りかかる不幸が色濃くなった時だけなのでしょう。

 

そして、他の人にはどんな姿であれ『人類の不幸』が見えていないとすると、
ルイにだけ見える理由は「不幸だから」というだけでなく、
「音楽で(不幸から)皆を救う」という大それた執念を持っていたからこそ、
誰よりも『人類の不幸』を見ようとしていたからなのかなと思います。

そうして見えた『人類の不幸』は、
不幸そのものでありながらルイを不幸から遠ざけようとする。
ボンに帰らせようとしたり、過激な発言を止めようとしたり、イギリスに行こうと言ったり。そして人生を終わらせることで苦しみから救おうとする。
それは彼女が「不幸」を「憎んで恐れて逃げ惑う」人間の声から生まれた故なのでしょう。
彼女の存在は、彼女を忌避する感情によって生まれたわけです。
『人類の不幸』そのものでありながら、不幸を生みたいわけではなく、
むしろ不幸を忌避する感情も彼女の構成要素に含まれている。

補足:
彼女は『人類の不幸』そのものだとすると、「嘆く声が私を産む」前にそもそも不幸が存在しているのでは?と若干こんがらがりましたが、考え方としては2つ。

①一人ひとりの嘆きが積み重なって産まれたのが『人類の不幸』である。
②そもそも「不幸」の中身(戦死、子供の死など)はただの事象であり、それを不幸とみなすのは人間の心でしかないため、『人類の不幸』は人間の感情を通してしか産まれ得ない
ちょっと②は考えすぎな気もしますが、強ち間違ってもいないような。

そんな彼女をルイが受け入れて、慈しみ愛することで、
今を生きる人々に留まらず、『人類の不幸』ごと救い上げる歓喜の歌が生まれた。

ナウオンで真彩ちゃんが「産まれたての赤ちゃんみたいな気持ち」と言っていましたが、
忌避の感情によって産まれた『人類の不幸』が、
それと相反する感情である受容・慈愛に包まれたことで
『運命の恋人』に生まれ変わった、と考えると、まさにそんな感覚なのかなと思いました。

 

ちなみに、ナポレオンが皇帝に即位するくだりでまでは
ルイ(並びに人間を)を嘲笑うような態度が多いですが、これは
『人類の不幸』である自分に、たかだか一人の人間が立ち向かうなんて」という立ち位置によるものと思っています。

 

ところで、ルイに用事を押し付けられたあたりから人間的な振る舞いが見られるようになります。
トップコンビらしい(?)絡みが欲しかったというメタ的な理由もあると思いますが(笑)、
この頃はルイが『不幸』を愛しはしないまでも、
常に自分と共にあるものとして受け入れて生きていたから
なのでしょう。
『恋人』まではいかなくても「知り合い」くらいにまではなれていたというか。
それをルイは小間使いのように扱うわけですが(笑)、
受け入れてもらえた彼女は、きっと少し嬉しかったんだろうなと。
そしてルイの不屈の精神を認めて、”死”以外の方法でこれ以上の不幸から遠ざけようとするのかなと。

ルイ的に「可愛い」容姿だったのは、
不幸が可愛いものに思えるくらいには受け入れていたからなのか、
潜在的に救いたい、愛すべき相手だったからなのか、
単に好みが反映されただけなのか(笑)

ピンクの衣装はルイの好みとしか思えないんですけど、どうしようあれにも深い意味があったらw
家事が苦手だったのは、まぁそういうことには縁のない存在だからですかね。 

疑問点

  • 「もうひとりのあなたとも知らず」という歌詞
    人類の不幸が人間を形作る、というのは感覚的に分かるけど、
    「もうひとりの自分」と言われるとちょっと違う気がする。
    その表現に至るプロセスがあるのか?
  • 脚本の「ルートヴィヒは運命に勝つ。」という一文
    雪原で「不幸に敗北するか?それとも不幸に戦いを挑むか?それとも…」と言い残してナポレオンは息絶えます。
    この最後の「それとも…」に対するルイの答えが”不幸を受け入れて愛すること”だったのだと観劇時は思っていたので、脚本に「勝つ」という言葉があって??となりました。
    普通に”受け入れ愛することこそが勝利すること”という解釈で良いのかなぁ。
  • ピンクのフリフリ衣装
    どうしようあれに深い理由があったら(笑)

 

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雪原~夢のシンフォニー

たかがミュージシャンでありながら「人類の勝利」を目指していたルイを、
将軍・皇帝である英雄ナポレオンと同じ土俵で対話させるためのシーン。
「お前はモテたじゃないか、腹の立つ」などというルイの人間くさい本音が、
この場での二人がただの対等な人間同士であることを強調させます。

 

ロールヘンの死によって最後の灯火が消えたとき、
失望し憎んでいたはずのナポレオンがルイの意識の中に現れる。

失望したとしても、若い頃から影響を受けてきたナポレオンはずっとルイの根本に居続けたのでしょうし、
深層意識には強烈な憧れ(と嫉妬)を抱き続けてきたことが伺えます。

基本的にはルイの頭の中の出来事とはいえ、ヨーロッパ連合などルイにとって初耳な話も出てくるので、
『謎の女』が、セントヘレナ島で生を終えたナポレオンの魂を運んできたのかなと思っています。

そして対等に対話し、ナポレオンの真意を知り、再び「我が友」と呼ぶ存在になる。

 

ナポレオンの戦術とベートーヴェンの音楽は、共通して
芸術的に美しく、人類に大きな力を与えるものだということが、
雪原の大軍団で表現されているのかなと思います。

私は戦術は全く知識がないので分かりませんが、
音楽に関してはかなり頑張っていた時期があり、
何が最も理にかなっているか模索する楽しみ、実現する喜びというのは感覚的に分かります。
というか何に関しても楽しいよねそういうの。

 

疑問点

  • ナポレオンの「苦しむために生きている」という言葉
    「生きることは苦しみ」は分かりますが、苦しむことを目的に生きてるわけじゃないよなぁという違和感。
    ただ、それに対するルイの「幸せになりたかった」という吐露からの歓喜の歌に繋がるので、ここは違和感を持って正解なのかもしれない。
  • 「隊列を組んで倍、また倍と増えて・・・」といった戦術の話
    戦術について何も知らないので調べてみたい。
    戦術書って昔はそれこそ実用目的で作られてたみたいですけど、今も残ってて読めるんですかね…?
    あと、世界の全ては数で説明できる、的な考え方があるとチラッとお見かけしたのでそこから来てるのかな。
  • カント!
    何でそこでそれ言わせた!?読むわ!!

 

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ウェルテルとロッテの役割

諏訪さきさん推しなもので、観劇前に下記の「若きヴェルター(ウェルテル)の悩み」は読みました。

www.shueisha.co.jp

 

ウェルテル効果という言葉が出来るほど、当時ウェルテルに倣って自殺する若者が多発したそうですが、
謎の女の導きでルイの前にもウェルテルが現れ、ロッテへと導き、
ルイもウェルテルになる(=自死を選ぶ)のか、という表現がなされます。
ここのダンス素敵でしたね・・・(突然の感想)

 

小説の訳者解説で、ロッテについて
死にゆく人々に付き添う女性という役割を繰り返す」
「『(生の)限界』の在り処を指し示しつつ誘いかける仮象
と表現されていたのが印象的でした。
(作中で、ロッテは自身の母親も含め、病気などで死にゆく人々に何度も付き添っています。)

幻想シーンにおいて、妖しい微笑みでルイにピストルを手渡す彼女は、
まさにその仮象としてのロッテだと感じました。

 

ルイの希死念慮は「ハイリゲンシュタットの遺書」で捨て去られたように感じます。(史実的にもそういう見方が一般的なのかな?)

戦勝記念コンサートで失態を晒した後の「過去の幻影」でも
ウェルテルとロッテが目立つ所にいたと記憶していますが、
最後に残ったヨハンや少年ルートヴィヒの「死んじまえ」という叫びが示すように
再び希死念慮が頭をもたげてきたからなのか、
あるいは「あの時終わらせていれば良かったのに」という後悔なのか。

 

ここからは小説との比較なので蛇足ですが、ウェルテルが朗読しているオシアンの歌について。
舞台では「哀しくもむつみ合いつつ彷徨い行くなり」という一文で朗読が止まり、
感極まって抱擁します。
が、小説ではここでロッテが泣き出してしまった後、もう一節ウェルテルが朗読して二人が抱き合うんですよね。
その眼は辺りの野を見回し私を探すだろう、そして見つけられないだろう」というやつ。

何故わざわざ途中を抜き出したんだろう?と思ったんですが、
その眼は辺りの野を見回し~」の一節は、これから自殺するつもりのウェルテルにだけ刺さっている内容なんですよね、多分。
だから、そこだけ抜き出すとロッテが胸を打たれているのが不自然になってしまうのかなと。

哀しくもむつみ合いつつ~」までは、朗読の中の登場人物たちに
自分たちを重ね合わせて二人ともが感極まってしまう内容だったので、
あえてこちらにしたのかなと思いました。

あと、「哀しくもむつみ合いつつ彷徨い行くなり」という一文だけで、
二人が自分たちを歌に重ね合わせていることがうっすら伝わる気がします。

まぁ小説でもここは特別難解で私には理解しきれなかったんですけどね!!

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ロールヘンの役割

ロールヘンの死が、ルイの最後の灯火を消し去ります。
それほどルイにとって特別で大切な人だった。

生命を産んで自らは死へと旅立つロールヘンは、
死にゆく人々に付き添うロッテの対称の存在として描かれているのかなと思いました。何故ルイはウェルテルにならずに済んだのか。
それは、出会ったのがロッテではなくロールヘンだったから

ロッテに手渡されたピストルを幼き日の自分に向けた時、
目の前に現れたのがロールヘンだったのも、その暗喩のように思えます。

 

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第一印象と言いつつそこそこ長くなってしまった…w

あとは

あたりも色々知りたいですね。。
マイ初日までにどこまで調べられるやら…
そもそもチケットが取れるのか…

 

とにかく無事に公演が出来ることを祈りつつ、
更にこの公演を楽しむ準備をしておきたいと思います!